
この旅のこと
千葉県鴨川市、海まで徒歩0分の古民家で夏休みを過ごした。近海のアジでなめろう丼を作り、海水浴場の海の家でラーメンとかき氷。線路沿いを歩いて、天然ところてんの店へ。夕方は蚊取り線香を焚いて、ソース焼きそばと海鮮串焼きの屋台セット。締めは線香花火。ノスタルジックな、海辺の町の一日。
土地と食のことを、もう少し01TRAVEL JOURNAL
海辺の町の朝
海と山に囲まれた、自然豊かな町の朝。千葉県の房総半島、鴨川の海岸沿いにある古民家に滞在している。高台から見下ろすと、弓なりの浜と漁港、ホテルの建ち並ぶ町が一望できた。
ビーチサンダルをつっかけて外へ出ると、柵の向こうはもう海。岩場に立てば、雄大な太平洋の眺めが寝起きの目にまぶしい。砂浜にはカモメの群れが羽を休め、足元には白い貝殻がひとつ。寄せては返す波打ち際で、夏の一日が始まる。
この場面から映像で見る0:2702TRAVEL JOURNAL
房総名物、なめろう
朝ごはんは、近海で捕れたアジの刺身で作る。大葉を手でちぎり、生姜をすりおろして、長ねぎを刻む。まな板の上でアジを切り、薬味をのせて、味付けに味噌を加える。
包丁で細かく刻んでいく。とんとんと叩くうちに、身と味噌と薬味がなじんで、だんだん滑らかになっていく。粘りが出たら、漁師飯の最高峰、房総名物「なめろう」の完成。
この場面から映像で見る1:2203TRAVEL JOURNAL
海を眺めて、なめろう丼
炊きたてのご飯にたっぷりのせて、なめろう丼に。青い模様の茶碗を持って、海の見える縁側へ。いただきます。
脂の乗ったアジに、味噌と薬味の風味。海辺の町ならではの「ごちそう」だ。デッキの柵の向こうには海が広がり、縁石には拾ってきた貝殻が並んでいる。波の音と、この潮の香りも嬉しい調味料。
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夏休みの定番、海水浴場へ
午後は海沿いの道を歩いて、海水浴場へ。防波堤に沿って歩くと、砂浜とホテルの並ぶ海岸に出た。
夏休みの定番、海水浴場。子どもの頃は、毎年必ず訪れた。砂浜には浮き輪が掛かり、「氷」「ラムネ」ののぼりがはためく海の家が建っている。白い柵のテラスから、海を眺めた。
この場面から映像で見る2:5105TRAVEL JOURNAL
海の家のラーメンとかき氷
疲れることなんて忘れて、夢中で遊んだあの夏の日に食べた、海の家のラーメン。どんなご馳走よりも美味しかった。赤い丼の醤油ラーメンに、チャーシューとメンマ、青ねぎ。思い出の味は今も健在だ。
かき氷も、特別な夏のおやつ。赤いシロップをかけた氷をスプーンでほおばる。べろを真っ赤にして食べるのが、流儀である。
テラスの緑の椅子から見る砂浜には、テントが並び、波打ち際には遊ぶ人影。きらきら眩しい、夏の思い出。
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線路沿いの散歩道
海の家をあとにして、踏切のある道へ。警報機の向こうを、青と黄色の帯の電車が走り抜けていった。緑に埋もれた線路、踏切の先に広がる海。
高台からは、入り江と小さな島の浮かぶ海岸線が見渡せた。木陰の道を抜け、古いトンネルをくぐると、その先にはまた青空と海辺の町。
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天然ところてんの店
トンネルの先、草原の中に建つ木の小屋。「天然ところてん」の看板が掲げられている。こちらも夏の風物詩、ところてん。海藻を煮て、冷やし固めた、昔ながらのおやつだ。
店の人が水を張った容器から透き通ったところてんを取り出し、突き器で麺のように押し出す。たっぷりの黒蜜をかけたものが、好きです。仕上げに赤いさくらんぼをひとつ。
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涼しくて美味しい、夏の味
店内の窓には、地元の天草を使っていることを伝えるポスター。きなこと黒ゴマをかけて、召し上がれ。箸でよく混ぜて、ひと口。
心地良い歯ごたえと、磯の香り。涼しくて美味しい、夏の味。窓の外には海へ続く緑、壁には海辺の町の絵と岩場の写真が飾られていた。
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ただいま
海沿いの道を戻って、ただいま。カーブミラーの向こうに海が光る、海辺の家。道端には小さなバス停が立っている。
レモン柄の缶のノンアルコールの飲み物をグラスに注いで、窓辺の籐の椅子へ。畳の間の窓いっぱいに、夕方の海が広がる。浜の岩に波が砕け、遠くの町のホテルが夕日に染まっていた。
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蚊取り線香と、ソース焼きそば
日が傾いてきたら、豚の蚊遣りに蚊取り線香を立てて、マッチで火をつける。コンロの青い炎にフライパンをかけて、夏休みの定番料理といえば、ソース焼きそば。
イカとキャベツを炒め、麺をほぐして、ソースを絡める。夏祭りや縁日の屋台が、毎年楽しみだった。このソースの香ばしい匂いに、夏を感じる。
この場面から映像で見る7:0311TRAVEL JOURNAL
夏祭り屋台セット
縁側に七輪を出して、海鮮の串焼きも。タコとイカを串に刺して、網の上でじりじりと焼く。屋台の海鮮串焼きの重要性は、ビールを飲む大人になってから、理解しました。
黒い皿の焼きそばに紅生姜と青のりをのせて、串焼きと、よく冷えた缶を並べれば、夏祭り屋台セットの完成。ソースの匂いが食欲をそそる。アツアツの焼きそばを頬張って、キンキンに冷えた一杯(今夜はノンアルコールのビール)を流し込む。夏休みは、大人になっても最高ですね。
この場面から映像で見る7:4312TRAVEL JOURNAL
長くて短い、夏の始まり
夜、縁側で線香花火に火をつける。夏には特別な時間が、流れている気がする。それはコントラストが高くて、鮮やかに記憶に残る。蚊取り線香の香りの中で、長くて短い、夏の始まり。
この場面から映像で見る8:29THE BORROWER’S NOTES
借り暮らしの鴨川メモ。
立ち寄った店、台所で作ったもの、この土地のこと。旅のつづきに、覚えておきたいことを。
01立ち寄った店

ところてん小屋 青木
千葉県鴨川市江見太夫崎
天然ところてんの専門店。店主が店の前の海で採った天草を煮て、冷やし固めてつくる。味は酢醤油と黒蜜の2種類で、黒蜜にはさくらんぼが添えられ、きなこと黒ごまをかけて食べた。木の小屋の店内には小さなギャラリーがある。台風で被災して2024年4月に君津市へ一時移転したが、同年12月に元の場所へ戻って営業しているという(2025年3月の記事)。

海水浴場の海の家
砂浜に建つ海の家。緑の椅子を並べたテラスから海が見える。醤油ラーメン(チャーシュー・メンマ・青ねぎ)と、赤いシロップのかき氷を食べた。店の名前は映像に写っていない。
02作った料理

なめろう丼
なめろうは、房総半島沿岸に古くから伝わる千葉県の郷土料理。上総・安房の漁師が、船の上で獲れたての魚を調理するために考え出したとされ、波で揺れる船では醤油がこぼれやすいため、味噌で味をつけた。皿をなめるほど美味しいことが名前の由来といわれる。南房総では一年中アジが獲れるのでアジを使うことが多く、家庭料理として広まる中でねぎや生姜の薬味が加わった。日持ちしないので、作ったらすぐに食べる。今回は近海のアジを使い、炊きたてのご飯にのせて丼にした。
材料アジの刺身(近海もの)・大葉・生姜・長ねぎ・味噌・炊きたてのご飯
- 大葉を手でちぎり、生姜をすりおろし、長ねぎを刻む
- アジの刺身を切り、薬味をのせて味噌を加える
- 包丁で細かく刻み、滑らかになるまでたたく
- 炊きたてのご飯にのせる
出典: maff.go.jp

ソース焼きそば
夏祭りや縁日の屋台の定番。イカとキャベツを炒めてから麺を加え、ソースを絡めた。仕上げに紅生姜と青のり。
材料焼きそばの麺・イカ・キャベツ・ソース・紅生姜・青のり
- フライパンでイカとキャベツを炒める
- 麺を加えてほぐし、ソースを絡める
- 皿に盛り、紅生姜と青のりをのせる

海鮮串焼き
屋台の味を、縁側の七輪で。タコとイカを串に刺して、炭火の網で焼いた。
材料タコ・イカ
- タコとイカを串に刺す
- 七輪の網にのせ、炭火で焼く
03土地のこと

鴨川市
千葉県の南東部、房総半島の太平洋側にある町。前原海岸(日本の渚百選)をはじめ、内浦・城崎・太海・江見に海水浴場があり、沿岸の漁港ではイワシやサバなどが水揚げされる。鴨川シーワールドや大山千枚田、仁右衛門島でも知られる。
出典: ja.wikipedia.org

天草とところてん
ところてんは、海藻の天草(テングサ)を煮出した汁を冷やし固め、突き器で麺のように押し出したもの。ところてん小屋 青木では、店主が店の前に広がる太夫崎海岸に潜って天草を採り(5月から9月)、干して晒してから煮て固める。食べられるまでおよそ10時間かかるという。

海沿いの古民家
今回お借りしたのは、海まで徒歩0分の海岸沿いの古民家。柵の向こうがすぐ海で、ウッドデッキと畳の間の窓から太平洋を眺められる。
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