写真とことばで、旅をする。

旅のエッセイ

香川県 多度津町

「瀬戸内の島で暮らすように」後編

海風と猫に誘われて、佐柳島へ

猫の島と、香川の郷土のうどん。

映像公開 70 枚の写真

旅を読みはじめる
古い家並みの道でしゃがむ後ろ姿と、横切る黒猫
古い家並みの道でしゃがむ後ろ姿と、横切る黒猫TADOTSU, KAGAWA

この旅のこと

大楠と天空の花畑の志々島から、島民より猫の数が多いという多度津町の離島、佐柳島へ。港で出迎えてくれた猫たちに心をほぐされ、小学校を改装したカフェで、職員室のカレーと無花果のアイスを食べた。粟島に戻って、懐かしい商店で買ったおいりとアイスクリンを海辺の鳥居でほおばり、夕日が沈んだあとは、香川の郷土料理しっぽくうどんで一日を締めくくった。

土地と食のことを、もう少し

01TRAVEL JOURNAL

猫の島、佐柳島へ

大楠と天空の花畑の志々島から、フェリーで向かった先は、香川県多度津町の離島、佐柳島。赤いラインの入ったフェリーが、緑の島影を背に港へ入っていく。

島民よりも猫の数が多いという「猫の島」だ。岸壁にはキジトラの猫が寝そべり、本浦の待合所の前には、何匹もの猫が集まってきた。しゃがみこむと、足元まで寄ってくる。

路地を歩けば、後ろからついてくる猫がいて、瓦屋根の上では白黒の猫が目を閉じている。彼らの警戒心のない姿が、心を解きほぐしてくれる。

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フェリーのデッキに立つ後ろ姿と緑の島
01フェリーのデッキに立つ後ろ姿と緑の島
赤いラインのフェリーが港に入ってくる
02赤いラインのフェリーが港に入ってくる
岸壁の縁で寝そべる猫
03岸壁の縁で寝そべる猫
係船柱のそばでくつろぐキジトラの猫
04係船柱のそばでくつろぐキジトラの猫
港の待合所の前でしゃがみ、猫と向き合う後ろ姿
05港の待合所の前でしゃがみ、猫と向き合う後ろ姿
本浦の待合所の前に集まる猫たち
06本浦の待合所の前に集まる猫たち
塀の下の板の上で丸まる白黒の猫
07塀の下の板の上で丸まる白黒の猫
海沿いの路地を歩く後ろ姿と、あとをついてくる猫
08海沿いの路地を歩く後ろ姿と、あとをついてくる猫
瓦屋根の上で眠る白黒の猫
09瓦屋根の上で眠る白黒の猫

02TRAVEL JOURNAL

小学校を改装したカフェ

海沿いの道の先に、木造の校舎が建っている。石段を上がり、「WE ARE OPEN」の札が出た玄関から中へ。

窓の向こうは一面の海。猫の形の飾りが揺れ、赤いダイヤル式の公衆電話は、ネコのカリカリの募金箱になっていた。受付の棚には「ようこそ ねこの島さなぎ」と手書きの看板。視力検査表にはかり、棚に並ぶ学用品やギター。木造校舎の良さがそのまま残る、小学校を改装したカフェだ。

格子の窓からは、瀬戸内の海と、向かいの島が見えた。

この場面から映像で見る0:40
海沿いの道を木造校舎へ歩く後ろ姿
10海沿いの道を木造校舎へ歩く後ろ姿
石段の上の木造校舎の玄関と「WE ARE OPEN」の札
11石段の上の木造校舎の玄関と「WE ARE OPEN」の札
窓辺に下がる猫の形の飾りと、青い海
12窓辺に下がる猫の形の飾りと、青い海
ネコのカリカリ募金箱になった赤いダイヤル式電話
13ネコのカリカリ募金箱になった赤いダイヤル式電話
「ようこそ ねこの島さなぎ」の手書き看板と猫の置物
14「ようこそ ねこの島さなぎ」の手書き看板と猫の置物
窓辺の視力検査表とはかり
15窓辺の視力検査表とはかり
学用品や置物、ギターが並ぶ木の棚
16学用品や置物、ギターが並ぶ木の棚
格子窓の向こうの海と島
17格子窓の向こうの海と島

03TRAVEL JOURNAL

職員室のカレーと、無花果のアイス

元は職員室だったという場所でいただくカレー。ごろりとした肉の入った、スパイスの効いた大人向けの味だ。木のテーブルに、白いコーヒーカップ。

デザートは、地元の方が育てた無花果のアイスクリーム。ガラスの器に、丸いビスケットが添えてある。

この場面から映像で見る1:16
スプーンですくうカレーライス
18スプーンですくうカレーライス
テーブルでカレーを食べる手元とコーヒーカップ
19テーブルでカレーを食べる手元とコーヒーカップ
ごろりとした肉の入ったカレーの寄り
20ごろりとした肉の入ったカレーの寄り
カウンターの棚と、ぼけた後ろ姿越しのテーブル
21カウンターの棚と、ぼけた後ろ姿越しのテーブル
丸いビスケットを添えた無花果のアイスクリーム
22丸いビスケットを添えた無花果のアイスクリーム
ガラスの器のアイスをスプーンで食べる手元
23ガラスの器のアイスをスプーンで食べる手元

04TRAVEL JOURNAL

時が止まったような場所

校舎の廊下の先に、海が見える。椅子に腰かけて、しばらくぼんやりと眺めた。まるで子供の頃のまま、時が止まったような場所。

外に出れば、穏やかな瀬戸内の潮風。石碑のそばで猫が寝そべり、黒猫が堤防の上を歩いていく。のんびり暮らしている島猫たちだ。

この場面から映像で見る1:51
廊下の奥、海を前に椅子に座るシルエット
24廊下の奥、海を前に椅子に座るシルエット
廊下の先の海を眺めて座る後ろ姿
25廊下の先の海を眺めて座る後ろ姿
海沿いの堤防の道を歩く後ろ姿
26海沿いの堤防の道を歩く後ろ姿
石碑の足元で寝そべる猫たち
27石碑の足元で寝そべる猫たち
青空の下、堤防の上を歩く黒猫
28青空の下、堤防の上を歩く黒猫

05TRAVEL JOURNAL

教室の宿と、今の主たち

「音楽室」の札が残る廊下。学校の教室は、この島唯一の宿泊施設になっている。窓の外には海、ガラス越しには猫たち。

廊下の棚には「5・6年用」と書かれた古い食器が、そのまま置かれていた。毎日ワクワクして、無邪気に遊んだあの時代。

茶トラの猫を撫でると、目を細めてうっとりしている。今は君たちが、ここの主なんだね。古い家並みの道では、黒猫が悠々と横切っていった。

この場面から映像で見る2:23
「音楽室」の札がかかる校舎の廊下
29「音楽室」の札がかかる校舎の廊下
教室の窓と、その向こうの海
30教室の窓と、その向こうの海
教室の窓辺に立つシルエット
31教室の窓辺に立つシルエット
ガラス越しに見える窓の外の猫たち
32ガラス越しに見える窓の外の猫たち
廊下の棚に残る「5・6年用」と書かれた古い食器
33廊下の棚に残る「5・6年用」と書かれた古い食器
茶トラの猫を撫でる手元
34茶トラの猫を撫でる手元
目を細める茶トラの猫
35目を細める茶トラの猫
古い家並みの道でしゃがむ後ろ姿と、横切る黒猫
36古い家並みの道でしゃがむ後ろ姿と、横切る黒猫

06TRAVEL JOURNAL

また、ここに来よう

港の待合所には、笠岡行きの船の時刻を書いた黒板や、お願いの貼り紙。乗船券売り場の窓口の脇には、大天狗神社がイノシシのために立入禁止という知らせも貼ってあった。

屋根の下から、船の着く桟橋と向かいの島を眺める。童心を思い返したくなったら、またここに来よう。

この場面から映像で見る3:07
待合所の黒板と壁の貼り紙
37待合所の黒板と壁の貼り紙
乗船券販売口の窓と貼り紙
38乗船券販売口の窓と貼り紙
屋根のある桟橋から見る港と海
39屋根のある桟橋から見る港と海

07TRAVEL JOURNAL

ノスタルジックな商店で買い物

粟島に戻って、港の近くの商店へ。「ビール」「アイスクリーム」の古い看板に、軒先には吊り下げられた飾り。縁台に置かれたかごには、ピンクの値札。

食べてみたかった、香川の伝統菓子「おいり」。隣にはいりこの袋もある。放課後は、駄菓子屋でおやつを買って。

この場面から映像で見る3:27
「ビール」「アイスクリーム」の看板が出た商店の店先
40「ビール」「アイスクリーム」の看板が出た商店の店先
軒下に雑貨や花が並ぶ商店の店先
41軒下に雑貨や花が並ぶ商店の店先
「おいり」の値札と、袋を手に取る手元
42「おいり」の値札と、袋を手に取る手元

08TRAVEL JOURNAL

帰り道の神社で

木陰の参道の先に、海に向かって鳥居が立っている。海辺の馬城八幡神社だ。鳥居の下に立つと、目の前は瀬戸内の海と、向かいの山並み。

砂浜に腰を下ろして、アイスクリンを食べる。帰り道の神社で食べるおやつ。大人になった今でも、最高に楽しい。

この場面から映像で見る3:40
木陰の参道の先に見える海辺の鳥居
43木陰の参道の先に見える海辺の鳥居
海に向かって立つ石の鳥居と、その下の後ろ姿
44海に向かって立つ石の鳥居と、その下の後ろ姿
鳥居の柱の脇から海を眺める後ろ姿
45鳥居の柱の脇から海を眺める後ろ姿
砂浜でアイスクリンを手にする手元
46砂浜でアイスクリンを手にする手元

09TRAVEL JOURNAL

ただいま。おいりと泡盛珈琲

古い家並みの路地を抜けて、ただいま。格子戸と障子の家に、ランプの明かりがともる。

軽い小粒で、見た目も可愛らしい「おいり」をガラスの器に入れ、以前沖縄を訪れたときのお土産、泡盛珈琲を淹れる。粟島で、泡盛珈琲と淡い色合いの嫁入り菓子。風流ですな。

縁側の先の石段には、猫が一匹。緑の中で昼寝をしていた。

この場面から映像で見る4:02
路地の先の古い家へ歩く後ろ姿
47路地の先の古い家へ歩く後ろ姿
格子戸の玄関に入る後ろ姿
48格子戸の玄関に入る後ろ姿
ランプのともる部屋と障子
49ランプのともる部屋と障子
ガラスの器に移すおいり
50ガラスの器に移すおいり
ドリップバッグのコーヒーに湯を注ぐ
51ドリップバッグのコーヒーに湯を注ぐ
「泡盛珈琲」の赤い袋と木のカップ
52「泡盛珈琲」の赤い袋と木のカップ
ランタンと、器のおいりと木のカップ
53ランタンと、器のおいりと木のカップ
縁側に座る後ろ姿と、石段の上の猫
54縁側に座る後ろ姿と、石段の上の猫
緑の中、石段で寝そべる白黒の猫
55緑の中、石段で寝そべる白黒の猫

10TRAVEL JOURNAL

瀬戸内海に日が沈む

瀬戸内海に日が沈んでいく。楽しい一日が終わってしまう気がして、子供の頃は、夕焼け空が妙に寂しかったな。

暗くなった家に、ランタンの明かりがひとつ。

この場面から映像で見る5:07
草の影越しに海へ沈む夕日
56草の影越しに海へ沈む夕日
夕日の海を眺めるシルエット
57夕日の海を眺めるシルエット
暗くなった家の軒先にともるランタン
58暗くなった家の軒先にともるランタン

11TRAVEL JOURNAL

晩ごはんは、しっぽくうどん

晩ごはんは「しっぽくうどん」を作ってみよう。大根を輪切りにして、鶏肉と根菜、里いも、椎茸などを出汁で煮込む。

茹でたうどんに具ごとかけて、青ねぎを散らす。本来は秋から冬にかけての定番料理で、年越しそばの代わりに食べるご家庭もあるそうだ。

この場面から映像で見る5:31
まな板の上で大根を切る手元
59まな板の上で大根を切る手元
大根を輪切りにする手元
60大根を輪切りにする手元
鶏肉・大根・人参・椎茸を煮込む鍋
61鶏肉・大根・人参・椎茸を煮込む鍋
茹でたうどんの上に具をのせる
62茹でたうどんの上に具をのせる
鶏肉と大根と人参がのったうどん
63鶏肉と大根と人参がのったうどん
赤い鍋から丼に汁をよそう
64赤い鍋から丼に汁をよそう
青ねぎを散らしたしっぽくうどん
65青ねぎを散らしたしっぽくうどん

12TRAVEL JOURNAL

年越し気分で

夜の家に、明かりがともる。ノンアルコールのビールをグラスに注いで、年越し気分で、この楽しい一日を締めくくろう。

根菜と椎茸のうまみが詰まった、香川の郷土料理。大人になった今、こういった素朴で滋味深い味わいが、心の底から美味しく感じる。大人ってのも、良いものだ。

この場面から映像で見る6:02
夜の家の窓にともる明かり
66夜の家の窓にともる明かり
缶の飲み物をグラスに注ぐ手元と、うどんの丼
67缶の飲み物をグラスに注ぐ手元と、うどんの丼
テーブルでうどんを前に座る後ろ姿
68テーブルでうどんを前に座る後ろ姿
箸でつまんだうどんと具の寄り
69箸でつまんだうどんと具の寄り
格子戸越しに食卓に座る後ろ姿
70格子戸越しに食卓に座る後ろ姿

THE JOURNEY IN FILM

風の音も、台所の音も。

写真の向こうに流れていた時間を、映像でも。

映像で見る7分

THE BORROWER’S NOTES

借り暮らしの香川・佐柳島メモ。

立ち寄った店、台所で作ったもの、この土地のこと。旅のつづきに、覚えておきたいことを。

01立ち寄った店

  • 喫茶ネコノシマ

    喫茶ネコノシマ

    香川県仲多度郡多度津町佐柳1353

    1954年に建てられた旧佐柳小学校の木造校舎を改装した宿泊施設に併設されたカフェ。元の職員室で、数量限定のカレーと、地元の方が育てた無花果のアイスクリームをいただいた。棚の学用品や視力検査表、ネコのカリカリの募金箱になった赤い公衆電話など、学校の名残がそのまま残る。

    出典: kids.rurubu.jp travel.rakuten.co.jp

  • 武内商店

    武内商店

    香川県三豊市詫間町粟島1348

    粟島港から歩いて3分ほどの、島で唯一の商店。食品や日用品のほか、飲み物やアイス、土産も扱う。「ビール」「アイスクリーム」の古い看板が出た店先で、香川の伝統菓子「おいり」といりこを買い、アイスクリンを手に海辺の神社へ向かった。

    出典: gltjp.com

02作った料理

  • しっぽくうどん

    しっぽくうどん

    香川県全域に伝わる、冬の郷土料理。秋から冬にかけてとれる数種類の野菜と油揚げを煮干しの出汁で一度に煮込み、茹でたうどんに具ごとかける。出汁をカツオや昆布にしたり、里芋や椎茸を加えたり、こくを出すために鶏肉や豚肉を入れたりと、家庭や店によってさまざま。冬野菜が出回る時期に家庭の食事や来客のもてなしに出され、年末に年越しそばの代わりに食べることもある。今回は鶏肉と里いも、椎茸を入れた。

    材料うどん・鶏肉・大根・人参・里いも・椎茸・出汁・青ねぎ

    1. 大根などの根菜を切る
    2. 鶏肉と根菜、里いも、椎茸を出汁で煮込む
    3. 茹でたうどんに具ごとかけて、青ねぎを散らす

    出典: maff.go.jp

03土地のこと

  • 佐柳島

    佐柳島

    多度津町の沖に浮かぶ、塩飽諸島のひとつ。面積1.83平方キロの細長い島で、南に本浦、北に長崎の二つの集落がある。2021年時点の人口は60人弱。多度津港からのフェリーは高見島を経由して、本浦港と長崎港に着く。島民より多い地域猫が暮らす「猫の島」として知られ、堤防の切れ目を飛び越える猫の姿が話題になった。1995年に廃校になった小中学校の校舎は、2017年に宿泊施設とカフェに生まれ変わった。幕末には、島民が咸臨丸に乗り組んで太平洋を渡っている。町は、散策は日の出から日没までとし、集落への立ち入りは控えるよう呼びかけている。

    出典: ja.wikipedia.org haveagood-holiday.com town.tadotsu.kagawa.jp

  • 馬城八幡神社

    馬城八幡神社

    香川県三豊市詫間町粟島

    粟島の海辺に立つ八幡神社。参道は砂浜まで続き、鳥居は満潮のときには海に浮かんでいるように見え、干潮のときには鳥居の前まで歩いて行ける。祭神は仲哀天皇と応神天皇で、由来の確かな記録は残っていない。島の人は「うまき」と呼ぶ。地名の馬城は、古代にこの島に置かれた馬の牧に由来するという説がある。

    出典: yousakana.jp gltjp.com

  • おいり

    おいり

    香川県西部(西讃)に古くから伝わる、嫁入りの菓子。米でつくる軽い小粒のあられで、淡い色に染め分けられ、結婚の引き出物として配られてきた縁起物。いまは土産物としても売られ、ソフトクリームのトッピングにもなっている。

    出典: pref.kagawa.lg.jp my-kagawa.jp

  • 粟島

    粟島

    三豊市の須田港から船で15分ほどの、塩飽諸島の島。三つの島が砂州でつながった、スクリューのような形をしている。かつては北前船の寄港地として栄え、1897年には日本で最初の村立の海員学校が開かれた(1987年に廃校。跡地は粟島海洋記念公園)。瀬戸内国際芸術祭の会場にもなっている。

    出典: ja.wikipedia.org

  • 粟島の古い家

    粟島の古い家

    今回お借りしたのは、粟島の集落にある、格子戸と障子の古い家。縁側の先の石段には猫がやってきて、夜はランプの明かりで過ごした。

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01猫の島、佐柳島へ

02小学校を改装したカフェ

03職員室のカレーと、無花果のアイス

04時が止まったような場所

05教室の宿と、今の主たち

06また、ここに来よう

07ノスタルジックな商店で買い物

08帰り道の神社で

09ただいま。おいりと泡盛珈琲

10瀬戸内海に日が沈む

11晩ごはんは、しっぽくうどん

12年越し気分で