
この旅のこと
大楠と天空の花畑の志々島から、島民より猫の数が多いという多度津町の離島、佐柳島へ。港で出迎えてくれた猫たちに心をほぐされ、小学校を改装したカフェで、職員室のカレーと無花果のアイスを食べた。粟島に戻って、懐かしい商店で買ったおいりとアイスクリンを海辺の鳥居でほおばり、夕日が沈んだあとは、香川の郷土料理しっぽくうどんで一日を締めくくった。
土地と食のことを、もう少し01TRAVEL JOURNAL
猫の島、佐柳島へ
大楠と天空の花畑の志々島から、フェリーで向かった先は、香川県多度津町の離島、佐柳島。赤いラインの入ったフェリーが、緑の島影を背に港へ入っていく。
島民よりも猫の数が多いという「猫の島」だ。岸壁にはキジトラの猫が寝そべり、本浦の待合所の前には、何匹もの猫が集まってきた。しゃがみこむと、足元まで寄ってくる。
路地を歩けば、後ろからついてくる猫がいて、瓦屋根の上では白黒の猫が目を閉じている。彼らの警戒心のない姿が、心を解きほぐしてくれる。
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小学校を改装したカフェ
海沿いの道の先に、木造の校舎が建っている。石段を上がり、「WE ARE OPEN」の札が出た玄関から中へ。
窓の向こうは一面の海。猫の形の飾りが揺れ、赤いダイヤル式の公衆電話は、ネコのカリカリの募金箱になっていた。受付の棚には「ようこそ ねこの島さなぎ」と手書きの看板。視力検査表にはかり、棚に並ぶ学用品やギター。木造校舎の良さがそのまま残る、小学校を改装したカフェだ。
格子の窓からは、瀬戸内の海と、向かいの島が見えた。
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職員室のカレーと、無花果のアイス
元は職員室だったという場所でいただくカレー。ごろりとした肉の入った、スパイスの効いた大人向けの味だ。木のテーブルに、白いコーヒーカップ。
デザートは、地元の方が育てた無花果のアイスクリーム。ガラスの器に、丸いビスケットが添えてある。
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時が止まったような場所
校舎の廊下の先に、海が見える。椅子に腰かけて、しばらくぼんやりと眺めた。まるで子供の頃のまま、時が止まったような場所。
外に出れば、穏やかな瀬戸内の潮風。石碑のそばで猫が寝そべり、黒猫が堤防の上を歩いていく。のんびり暮らしている島猫たちだ。
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教室の宿と、今の主たち
「音楽室」の札が残る廊下。学校の教室は、この島唯一の宿泊施設になっている。窓の外には海、ガラス越しには猫たち。
廊下の棚には「5・6年用」と書かれた古い食器が、そのまま置かれていた。毎日ワクワクして、無邪気に遊んだあの時代。
茶トラの猫を撫でると、目を細めてうっとりしている。今は君たちが、ここの主なんだね。古い家並みの道では、黒猫が悠々と横切っていった。
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また、ここに来よう
港の待合所には、笠岡行きの船の時刻を書いた黒板や、お願いの貼り紙。乗船券売り場の窓口の脇には、大天狗神社がイノシシのために立入禁止という知らせも貼ってあった。
屋根の下から、船の着く桟橋と向かいの島を眺める。童心を思い返したくなったら、またここに来よう。
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ノスタルジックな商店で買い物
粟島に戻って、港の近くの商店へ。「ビール」「アイスクリーム」の古い看板に、軒先には吊り下げられた飾り。縁台に置かれたかごには、ピンクの値札。
食べてみたかった、香川の伝統菓子「おいり」。隣にはいりこの袋もある。放課後は、駄菓子屋でおやつを買って。
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帰り道の神社で
木陰の参道の先に、海に向かって鳥居が立っている。海辺の馬城八幡神社だ。鳥居の下に立つと、目の前は瀬戸内の海と、向かいの山並み。
砂浜に腰を下ろして、アイスクリンを食べる。帰り道の神社で食べるおやつ。大人になった今でも、最高に楽しい。
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ただいま。おいりと泡盛珈琲
古い家並みの路地を抜けて、ただいま。格子戸と障子の家に、ランプの明かりがともる。
軽い小粒で、見た目も可愛らしい「おいり」をガラスの器に入れ、以前沖縄を訪れたときのお土産、泡盛珈琲を淹れる。粟島で、泡盛珈琲と淡い色合いの嫁入り菓子。風流ですな。
縁側の先の石段には、猫が一匹。緑の中で昼寝をしていた。
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瀬戸内海に日が沈む
瀬戸内海に日が沈んでいく。楽しい一日が終わってしまう気がして、子供の頃は、夕焼け空が妙に寂しかったな。
暗くなった家に、ランタンの明かりがひとつ。
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晩ごはんは、しっぽくうどん
晩ごはんは「しっぽくうどん」を作ってみよう。大根を輪切りにして、鶏肉と根菜、里いも、椎茸などを出汁で煮込む。
茹でたうどんに具ごとかけて、青ねぎを散らす。本来は秋から冬にかけての定番料理で、年越しそばの代わりに食べるご家庭もあるそうだ。
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年越し気分で
夜の家に、明かりがともる。ノンアルコールのビールをグラスに注いで、年越し気分で、この楽しい一日を締めくくろう。
根菜と椎茸のうまみが詰まった、香川の郷土料理。大人になった今、こういった素朴で滋味深い味わいが、心の底から美味しく感じる。大人ってのも、良いものだ。
この場面から映像で見る6:02THE BORROWER’S NOTES
借り暮らしの香川・佐柳島メモ。
立ち寄った店、台所で作ったもの、この土地のこと。旅のつづきに、覚えておきたいことを。
01立ち寄った店

喫茶ネコノシマ
香川県仲多度郡多度津町佐柳1353
1954年に建てられた旧佐柳小学校の木造校舎を改装した宿泊施設に併設されたカフェ。元の職員室で、数量限定のカレーと、地元の方が育てた無花果のアイスクリームをいただいた。棚の学用品や視力検査表、ネコのカリカリの募金箱になった赤い公衆電話など、学校の名残がそのまま残る。

武内商店
香川県三豊市詫間町粟島1348
粟島港から歩いて3分ほどの、島で唯一の商店。食品や日用品のほか、飲み物やアイス、土産も扱う。「ビール」「アイスクリーム」の古い看板が出た店先で、香川の伝統菓子「おいり」といりこを買い、アイスクリンを手に海辺の神社へ向かった。
出典: gltjp.com
02作った料理

しっぽくうどん
香川県全域に伝わる、冬の郷土料理。秋から冬にかけてとれる数種類の野菜と油揚げを煮干しの出汁で一度に煮込み、茹でたうどんに具ごとかける。出汁をカツオや昆布にしたり、里芋や椎茸を加えたり、こくを出すために鶏肉や豚肉を入れたりと、家庭や店によってさまざま。冬野菜が出回る時期に家庭の食事や来客のもてなしに出され、年末に年越しそばの代わりに食べることもある。今回は鶏肉と里いも、椎茸を入れた。
材料うどん・鶏肉・大根・人参・里いも・椎茸・出汁・青ねぎ
- 大根などの根菜を切る
- 鶏肉と根菜、里いも、椎茸を出汁で煮込む
- 茹でたうどんに具ごとかけて、青ねぎを散らす
出典: maff.go.jp
03土地のこと

佐柳島
多度津町の沖に浮かぶ、塩飽諸島のひとつ。面積1.83平方キロの細長い島で、南に本浦、北に長崎の二つの集落がある。2021年時点の人口は60人弱。多度津港からのフェリーは高見島を経由して、本浦港と長崎港に着く。島民より多い地域猫が暮らす「猫の島」として知られ、堤防の切れ目を飛び越える猫の姿が話題になった。1995年に廃校になった小中学校の校舎は、2017年に宿泊施設とカフェに生まれ変わった。幕末には、島民が咸臨丸に乗り組んで太平洋を渡っている。町は、散策は日の出から日没までとし、集落への立ち入りは控えるよう呼びかけている。
出典: ja.wikipedia.org haveagood-holiday.com town.tadotsu.kagawa.jp

馬城八幡神社
香川県三豊市詫間町粟島
粟島の海辺に立つ八幡神社。参道は砂浜まで続き、鳥居は満潮のときには海に浮かんでいるように見え、干潮のときには鳥居の前まで歩いて行ける。祭神は仲哀天皇と応神天皇で、由来の確かな記録は残っていない。島の人は「うまき」と呼ぶ。地名の馬城は、古代にこの島に置かれた馬の牧に由来するという説がある。

おいり
香川県西部(西讃)に古くから伝わる、嫁入りの菓子。米でつくる軽い小粒のあられで、淡い色に染め分けられ、結婚の引き出物として配られてきた縁起物。いまは土産物としても売られ、ソフトクリームのトッピングにもなっている。

粟島
三豊市の須田港から船で15分ほどの、塩飽諸島の島。三つの島が砂州でつながった、スクリューのような形をしている。かつては北前船の寄港地として栄え、1897年には日本で最初の村立の海員学校が開かれた(1987年に廃校。跡地は粟島海洋記念公園)。瀬戸内国際芸術祭の会場にもなっている。
出典: ja.wikipedia.org

粟島の古い家
今回お借りしたのは、粟島の集落にある、格子戸と障子の古い家。縁側の先の石段には猫がやってきて、夜はランプの明かりで過ごした。
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