
この旅のこと
築100年の古民家を借りて、鎌倉で暮らすように過ごした後編。江ノ電に揺られ、線路脇に本物の車体を置く老舗の和菓子屋へ。海を見渡すカフェでひと息ついて、家に戻って江ノ電もなかをほおばる。日が暮れる前に鎌倉ちょい飲みセットを並べ、〆は朝から気になっていた町中華。江ノ電の走る町で過ごした、おだやかな一日。
土地と食のことを、もう少し01TRAVEL JOURNAL
江ノ電の走る町へ
鎌倉と湘南を走る小さなローカル線、江ノ島電鉄。緑とクリーム色の車両が、日蓮宗の本山、龍口寺の門前の道路を、車と並んで走っていく。
120年以上、愛され続けている歴史ある鉄道だ。ビンテージ感と可愛さがたまらない江ノ電に、今日は乗ってみたかった。
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線路脇の和菓子屋と、本物の車体
線路沿いに、江ノ電の車体が置かれた和菓子屋を見つけた。緑に塗られた先頭車の行先表示には「江ノ電もなか」の文字。のぼりには「特製かしわ餅」とある。
店内には駅の案内板や運行時刻表が飾られ、ショーケースには江ノ電の絵を描いた箱が並ぶ。軒下には古い踏切の警報機が吊るされ、小さな風車と鯉のぼりが揺れていた。店の人が、ひとつひとつ丁寧に包んでくれる。
そのレトロ可愛い車体を模した和菓子を、お土産に。看板の「江ノ電もなか」の文字を見て、本日のおやつは決まった。
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海の見える駅から、江ノ電に乗る
ホームの目の前に海が広がる、鎌倉高校前駅。道路の向こうで波が光り、緑の車両が滑り込んできた。
家と家の間を進み、海沿いを走る江ノ電は、近隣住民の方々の大事な生活路線でもある。商店街の八百屋の前では、買い物かごを下げた人たちが野菜を選んでいた。江ノ電に乗って鎌倉高校に通う学生さんが、ちょっと羨ましい。
運転席の後ろに立って、前を見る。開けた窓の向こうに、青い海。車窓から見える景色は、シネマの世界だ。
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海岸線のカフェで、ほっと一息
海岸線には、西海岸のような雰囲気の店もある。白い板壁に黄色いドアのコーヒースタンドは、ハワイのノースショア生まれだ。
窓辺には店のロゴが入った紙コップと、木の小さなバスのおもちゃ。鎌倉の海が見渡せる店内で、大好きなバターコーヒーを飲みながら、ほっと一息ついた。
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百年の家で、江ノ電もなか
築100年の古民家に戻ると、庭の緑が日差しに光っていた。テーブルには冷たい飲み物と、葉を添えた透きとおった和菓子。そして、グッとくるパッケージの「江ノ電もなか」。
箱を開けて、薄紙をほどく。お店の方が、一つひとつ丁寧に包んでいたな。最中の皮には「えのでん」の字。ひらがなの文字に、お店の地元愛を感じる。
割ってみると、江ノ電のボディの色と同じ抹茶餡。中には求肥が入っている。甘すぎない、200年の歴史がある老舗の優しい味。格子窓の向こうで木々が揺れる。鎌倉の午後を、より幸せにしてくれる銘菓だ。
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夕暮れの町と海
午後の光が傾くころ、踏切の前を江ノ電が通り過ぎていった。海へ続く路地を下りていく。
海岸に出ると、江の島が夕日に浮かび、その向こうに富士山のシルエットが霞んでいた。波打ち際が金色に光る。
この場面から映像で見る2:3007TRAVEL JOURNAL
日があるうちに、鎌倉ちょい飲みセット
日があるうちに、晩酌を始めようかな。台所の窓から差す光の中で支度をするうちに、外の板塀には夜の明かりが灯った。
網の上で、イワシの丸干しとホタテ、薩摩揚げを焼く。干物なのに瑞々しいイワシの丸干し。貝が口を開けて、湯気が立つ。
缶を開け、グラスに注いで、鎌倉ちょい飲みセットの完成。手を合わせて、いただきます。近海で捕れたハタのお刺身、鎌倉野菜のトマト、干物屋さんお手製のしっとりした薩摩揚げ。台所のカウンターで、ゆっくり箸を進めた。
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〆は、朝から気になっていた町中華
〆に、朝から気になっていた町中華へ。朝に鎌倉市農協連即売所を訪れたときから、赤い看板が目に留まっていた店だ。市場の角で、暖簾に「ラーメン」の字。
壁の品書きの先頭に、大新ラーメン。40年以上、地元の方に愛されているお店だそうだ。地元の方に混ざって、地元の味を食べる。これも借り暮らしの醍醐味のひとつだ。
運ばれてきたのは、ザーサイとひき肉のあんかけに白髪ねぎをのせた醤油ラーメンと、焼き目のついた餃子。とろりとしたあんかけと、細めの麺は相性抜群。新感覚のラーメンが、衝撃の美味しさだった。あの時、朝食の買い出しに行かなければ、知ることのなかった味かもしれない。
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次はどんな暮らしに
夜の闇に、「中華 大新」の赤い看板と「ラーメン」の暖簾が浮かぶ。店を出て、シャッターの下りた即売所の前を歩いた。
今回も素敵な暮らしをお借りできた。次はどんな暮らしに出会えるのかな。
この場面から映像で見る4:21THE BORROWER’S NOTES
借り暮らしの神奈川・鎌倉メモ。
立ち寄った店、台所で作ったもの、この土地のこと。旅のつづきに、覚えておきたいことを。
01立ち寄った店

扇屋
神奈川県藤沢市片瀬海岸1-6-7
江ノ島駅から線路沿いに歩いてすぐ、龍口寺の門前にある江戸時代から続く和菓子屋。店先に引退した江ノ電の先頭車が置かれ、店内には駅の案内板や時刻表が飾られている。名物の江ノ電もなかは、江ノ電を描いた箱に入り、皮に「えのでん」の焼き印。餡は何種類かあり、今回は抹茶餡に求肥入りだった。のぼりにはかしわ餅も。
出典: mapple.net hamoni.jp

The Sunrise Shack 稲村ヶ崎本店
神奈川県鎌倉市稲村ガ崎1-15-9
ハワイ・ノースショアの小屋から始まったコーヒースタンドの、日本の本店。MCTオイルとグラスフェッドバターを入れたバターコーヒー(ブレットコーヒー)が看板で、海を見渡す窓辺の席でひと息つける。建物の老朽化のため2025年3月から休業して全面改修に入ったと案内されていた。再開しているかは、行く前に確かめてほしい。
出典: hamoni.jp makuake.com

02作った料理

鎌倉ちょい飲みセット
鎌倉駅近くの鎌倉市農協連即売所には、鎌倉近郊の農家が少量多品種で育てた「鎌倉野菜」が並ぶ。化学肥料や農薬をできるだけ控え、西洋野菜も多い。この日の膳は、その鎌倉野菜のトマトと、近海のハタの刺身、イワシの丸干しやホタテ、干物屋さんの薩摩揚げを、古民家の台所で焼いて並べたもの。料理というより、土地のものをそのまま味わう晩酌だ。
材料イワシの丸干し・ホタテ(殻つき)・干物屋さんお手製の薩摩揚げ・近海で捕れたハタの刺身・鎌倉野菜のトマト・大葉、大根のつま
- 網の上で、イワシの丸干しとホタテ、薩摩揚げを焼く
- 貝が口を開けたら皿に盛り、刺身にはつまと大葉を添える
- トマトを小鉢に入れ、グラスに注いで膳を整える
出典: mapple.net
03土地のこと

江ノ島電鉄(江ノ電)
1902年(明治35年)9月1日、藤沢と片瀬(現在の江ノ島)の間で営業を始めた、日本で6番目の電気鉄道。鎌倉までの全線が開通したのは1910年(明治43年)11月4日。社名は江之島電気鉄道、江ノ島鎌倉観光を経て、1981年に江ノ島電鉄になった。江ノ島駅の東側、龍口寺前の交差点から神戸橋までは道路と並んで走る併用区間で、龍口寺前のカーブは半径28メートル、普通鉄道としては日本一の急カーブとされる。

龍口寺
神奈川県藤沢市片瀬3-13-37
江ノ島駅から歩いて2分ほど、江ノ電が道路を走る区間の始まりにある日蓮宗の寺。文永8年(1271年)、日蓮がこの地の龍ノ口刑場で処刑を免れたと伝わる「龍ノ口法難」の地に、弟子の日法が延元2年(1337年)に建立した。本堂の裏には、神奈川県で唯一の木造の五重塔が立つ。
出典: rurubu.jp

鎌倉高校前駅
神奈川県鎌倉市腰越1-1-25
ホームの目の前に湘南の海が広がる、江ノ電の駅。1903年(明治36年)6月20日に日坂駅として開業し、1953年に鎌倉高校前駅に改称された。1997年に「関東の駅百選」に選ばれている。駅のすぐ東にある踏切は、アニメの冒頭の場面に登場したことで知られる。
出典: tabi-mag.jp

鎌倉市農協連即売所と鎌倉中央食品市場
神奈川県鎌倉市小町1-13-10
鎌倉駅東口から歩いて数分。昭和3年(1928年)から続く農家の直売所で、「レンバイ」の愛称で親しまれる。鎌倉市内と近郊の生産者がグループごとに交代で出店し、季節の鎌倉野菜を売る。同じ平屋の建物の海側半分が鎌倉中央食品市場で、乾物や海産物の店をはじめ10軒ほどが入る。朝の買い出しから夜の帰り道まで、この日の暮らしはこの建物を軸に回っていた。
出典: mapple.net 4travel.jp

江ノ電もなか
扇屋の名物。江ノ電を模した箱に最中が並び、皮にはひらがなで「えのでん」の焼き印が入る。餡は数種類あり、掲載によってゴマ・梅・柚子・求肥入りのこしあんとつぶあんの5種類とされる。今回食べたのは、江ノ電の車体と同じ緑の抹茶餡に求肥が入ったもの。甘すぎず、求肥のもちもちとした食感が楽しい。値札には神奈川県指定銘菓の文字があった。
出典: mapple.net

築100年の古民家
今回お借りしたのは、築100年ほどの古民家。格子窓から庭の緑が見える座敷と、窓の光が差す土間の台所、パラソルとテーブルを置いた庭がある。晩酌は台所のカウンターで。
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