
尾道水道は、尾道の本土と向島の間を流れる狭い海峡で、中世以来、瀬戸内海有数の港町として尾道を栄えさせた。尾道三山と水道に挟まれた限られた土地に寺社や家々が密集し、坂道と路地が結ぶ「箱庭的都市」の景観が生まれた。このストーリー「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」は、2015年に日本遺産に認定されている。林芙美子や志賀直哉が暮らした文学の街であり、小津安二郎『東京物語』や大林宣彦の尾道三部作の舞台となった映画の街でもある。
この旅の、この場面
坂の上から、尾道水道
町並みに寄り添うように、鉄道が走る。赤茶けた鉄塔の向こうを、コンテナを連ねた貨物列車が通り過ぎていった。急勾配の坂道を下りていくと、家々の屋根の先に尾道水道が見えてくる。
尾道水道は、本土と向島の間を流れる細い海。町と橋と港が、ひとつの箱庭のように収まっている。坂の上に立って、しばらく眺めた。以前、春に訪れたときは、同じ景色が満開の桜に縁取られていた。
沢山の魅力が詰まった町だ。石段の脇では、茶色の猫が気持ちよさそうに撫でられている。彼らにとっても、居心地のよい町なんだろう。
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