
この旅のこと
ブリスベンの西に広がる農村で、古材を組んだ小さな小屋を借りた。大家さんの産みたて卵でベーコンエッグを焼き、町のパブで昼のビール、名物のミートパイ。夕方は羊とアルパカと豚におやつをやり、夕日が沈んだら焚き火を囲んでカンガルーのステーキを焼く。南半球の田舎で、ゆっくりと時間の流れる一日。
土地と食のことを、もう少し01TRAVEL JOURNAL
羊とアルパカのいる小屋で
南半球の国オーストラリアで、海外の田舎暮らしを体験してみる。借りたのは、ブリスベンの西に広がる農村の、古材を組んだ小さな小屋。柵の前には青果と牛乳を売る古い看板が立ち、庭先では羊とアルパカが草を食んでいる。
ベランダには棚と古い道具が並び、壁には手配書のポスター。木のケースに入ったラジオ、真鍮のやかんに、古いミキサー。台所の壁には「産みたて卵、1ダース25セント」と書かれた看板がかかっていた。
この場面から映像で見る0:2202TRAVEL JOURNAL
大家さんの卵で、ベーコンエッグ
オーストラリア郊外の町の朝。大家さんから、産みたての卵をいただいた。シンプルにベーコンエッグで食べてみよう。鉄のフライパンでベーコンを焼き、その脂の上に卵を割り入れる。
トタン壁の台所には、黒い薪ストーブが残っている。窓の向こうに小屋が見える板張りの部屋で、ベリーのグラスを添えて朝ごはん。卵の味が濃厚で、とても美味しい。
戸口の揺り椅子の向こうには、朝の牧草地が広がっていた。棚には、古いミシンが置かれている。
この場面から映像で見る0:4203TRAVEL JOURNAL
牛の群れと、まっすぐな道
朝日の中の小屋を出て、町へ向かう。庭の木立にはツリーハウスが組まれ、古いトラックが停めてある。壁には、オーストラリアの古い地図。
電柱の並ぶまっすぐな道を歩いていくと、ユーカリの木の下の牧草地に牛の群れがいた。柵越しに眺めると、牛たちもこちらを見ている。木陰では、二頭が休んでいた。
この場面から映像で見る1:1804TRAVEL JOURNAL
町のパブで飲むビール
オーストラリアの町には、必ず一軒はパブがある。XXXXの看板が立つ、クリーム色のパブに入った。カウンターにはクーパーズ、ハーンのスーパードライ、ジンジャービール、グレートノーザン、XXXXゴールドと、ビールのタップが並ぶ。
テラス席で、グレートノーザンの瓶ビールを開けた。日差しの強いオーストラリアで飲むビール。身体に染み渡る旨さで生き返る。窓の外には、大木と牧場の小屋が見える草原が広がっていた。
窓越しに、カウンターで語らう客たちが見える。酒場の雰囲気って、好きだな。
この場面から映像で見る1:4005TRAVEL JOURNAL
この町名物のミートパイ
お昼は、この町名物のミートパイを食べてみよう。通りに赤い看板を掲げた、ベーカリー併設のカフェへ。木の梁に古い道具を飾った店内で、器に盛られたパイが運ばれてきた。
フォークを入れると、ジューシーなミートソースがあふれ出す。サクサクのパイに、とろとろの牛肉。グリーンピースのマッシュと食べると、更に美味しい。大きいのに、ペロッと食べちゃえる美味しさ。
壁には、馬車や集合写真の古い写真が並んでいた。窓の外を、トラックが走り抜けていく。
この場面から映像で見る2:1506TRAVEL JOURNAL
併設のベーカリーにも
美味しかったので、併設のベーカリーにも寄ってみる。看板には「メダル25個受賞」の文字。店の中は、パンの棚とショーケースにパイやケーキがぎっしり。ショーケース越しに注文して、店を出た。庭先には、古いトラックが飾られていた。
この場面から映像で見る2:4807TRAVEL JOURNAL
お肉屋さんで、夕食の食材を
夕食の食材を、お肉屋さんで調達。赤い屋根の木造の店で、牛の絵の看板が青空に立っている。冷蔵ケースには肉が並び、棚にはバーベキュー用のスパイスと、ラムや牛肉のレシピの冊子。今夜のメインになる肉を買った。
この場面から映像で見る3:0008TRAVEL JOURNAL
ただいま
大きな木の下の道を歩いて、小屋へ帰る。柵の門を開けて、ただいま。古い機械の置かれた小屋と、風車の立つ庭。青果と牛乳の看板の下には、古い三輪車。
ランタンを吊るしたベランダに、買い物袋を置く。トタン屋根の下では、豚が昼寝をしていた。台所には古い冷蔵庫と、トタン壁に据えた黒いストーブ。窓の外に、丘の緑が見える。
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おやつはラミントン
庭では、二頭のアルパカと羊が草を食んでいる。おやつは、オーストラリア伝統菓子の「ラミントン」。チョコレートソースに覆われたスポンジケーキに、細いココナッツがまぶしてある。
テラスの古い木のテーブルで、水色のカップのコーヒーと一緒に。チョコソースとココナッツが、よく合う。ベンチに座って牧場を眺めていると、小屋の屋根と風車の向こうで、空が夕方の色に変わり始めた。
この場面から映像で見る3:4710TRAVEL JOURNAL
君たちもおやつの時間だね
君たちも、おやつの時間だね。柵越しに豚ににんじんを差し出すと、羊も顔を出した。アルパカと羊には干し草を。二頭のアルパカが、干し草の束に顔を突っ込んでくる。柵の中に入って、しばらく一緒に過ごした。
この場面から映像で見る4:1111TRAVEL JOURNAL
地球という星に生きている
ベランダに戻って、缶のコンブチャをワイングラスに注ぐ。ラズベリーレモネードの、淡い赤。吊るしたランタンの向こうに、夕日が沈んでいく。いまにも飲み込まれてしまいそうな夕日。
山の稜線に、赤い太陽が落ちる。庭の椅子に腰かけて、グラス越しに丘を眺める。「地球という星に生きている」。そんな言葉が、思い浮かぶ。
暗くなるころ、庭で焚き火を起こした。炎が立ち上がり、灯りのともった小屋を照らす。
この場面から映像で見る4:3112TRAVEL JOURNAL
カンガルーのステーキで、BBQ
夕食は、オーストラリアらしくBBQだ。鉄板にブロッコリーニを並べ、網でメインのカンガルーのステーキを焼く。火を通しすぎないよう、トングで返す。切り分けると、赤い断面が現れた。
クセが無くて美味しい上、身体に良いときた。皿にはローズマリーをのせたステーキとブロッコリーニ、ベリーとサラダ。アルコールフリーのXXXX ZEROを添えて。調理からゆっくりと楽しむ、贅沢な時間。
手配書のポスターの下で、夜の食事。オーストラリアならではの時間の流れ方。ふと卓上の瓶に目をやって、気がついた。ベジマイト、食べるの忘れてた。
この場面から映像で見る5:41THE BORROWER’S NOTES
借り暮らしのオーストラリアメモ。
立ち寄った店、台所で作ったもの、この土地のこと。旅のつづきに、覚えておきたいことを。
01立ち寄った店

ボトルツリー・ホテル
664 Glamorgan Vale Road, Glamorgan Vale, クイーンズランド州 4306
ファーンベールの隣、グラモーガン・ベールの町のパブ。古くからあったホテルが建て替えられ、今の名前で営業している。カウンターのタップにはクーパーズ、ハーン・スーパードライ3.5、ジンジャービール、グレートノーザン・スーパークリスプ3.5、XXXXゴールド。テラス席から牧草地を眺めて、グレートノーザンの瓶ビールを飲んだ。
出典: clubsandpubsnearme.com.au en.wikipedia.org experiencesomerset.com.au

オールド・ファーンベール・ベーカリー & カフェ
1492 Brisbane Valley Highway, Fernvale, クイーンズランド州 4306
ファーンベールの大通りに赤い看板を掲げる、ベーカリーと併設のカフェ。40年近く町で続く店で、100種類を超えるパイを焼く。2019年のオーストラリアのパイの品評会では、シーフードパイがグルメ部門の最優秀賞をとった。カフェでミートパイをグリーンピースのマッシュと食べ、ベーカリーにも寄った。
出典: experiencesomerset.com.au wanderlog.com bakingbusiness.com.au

ファーンベール・ブッチャリー
1510 Brisbane Valley Highway, Fernvale, クイーンズランド州 4306
ファーンベールの大通りにある、赤い屋根の木造の肉屋。店先には「Last Country Killed BEEF」の看板。冷蔵ケースに肉が並び、棚にはバーベキュー用のスパイスとレシピの冊子が置いてある。夕食のカンガルーのステーキ用の肉を買った。
02作った料理

大家さんの卵のベーコンエッグ
農場の大家さんからいただいた産みたての卵を、ベーコンと一緒に鉄のフライパンで焼いた。台所には「産みたて卵、1ダース25セント」と書かれた古い看板がかかっていて、卵を売っていたころのこの家の暮らしを思わせる。黄身の色が濃く、味も濃厚だった。ベリーのグラスを添えて朝ごはんに。
材料産みたての卵・ベーコン
- 鉄のフライパンでベーコンを焼く
- ベーコンの脂の上に卵を割り入れ、目玉焼きにする

カンガルーのステーキのBBQ
町の肉屋で買ったカンガルーの肉を、庭のバーベキューで焼いた。カンガルーの肉はたんぱく質が23.2%と多く、脂肪は2.6%と少ない(牛肉は19.0%と15.8%)。100グラムあたりの熱量は約116キロカロリーで、牛肉の半分ほど。脂肪が少ないので火を通しすぎないのがよいとされる。ニューサウスウェールズ・クイーンズランド・ビクトリアの各州では、1993年まで人の食用としては売られておらず、ペットフードとしてだけ流通していた。
材料カンガルーの肉・ブロッコリーニ・ローズマリー・塩
- 鉄板にブロッコリーニを並べて焼く
- 網でカンガルーの肉を焼き、火を通しすぎないようにトングで返す
- 切り分けて皿に盛り、ローズマリーをのせる
出典: en.wikipedia.org
03土地のこと

ファーンベールとサマセット地域
ファーンベールは、ブリスベン中心部から西へ約61キロ、サマセット地域にある町。2021年の国勢調査では人口3,629人。ブリスベン・バレー・ハイウェイ沿いにあるベーカリーが町の目印で、古くからの肉屋も昔のままの姿で残っている。サマセット地域はブリスベン川が流れることから「ブリスベン・バレー」とも呼ばれ、農業が主な産業。南東クイーンズランドの水源となるウィベンホー湖とサマセット・ダムがある。

ミートパイ
ひき肉や角切りの肉をグレービーで煮て、パイ生地に包んで焼いた手のひらサイズのパイ。1個230グラムほどで、トマトソースをかけて手で食べるのがふつう。牛ひき肉のものが定番で、2003年にはニューサウスウェールズ州の首相が「国民食」と呼んだ。オーストラリア全体で年間2億7000万個が食べられているという。今回はグリーンピースのマッシュと一緒に食べた。
出典: en.wikipedia.org

ラミントン
スポンジケーキやバターケーキを四角く切り、チョコレートソースをかけてココナッツをまぶしたオーストラリアの菓子。名前は1896年から1901年までクイーンズランド総督を務めたラミントン卿にちなむとされ、総督のフランス人料理人が不意の客のために作ったという話が伝わる。最も古いレシピは1900年のクイーンズランドの新聞に載ったもの。7月21日は「ナショナル・ラミントン・デー」。
出典: en.wikipedia.org

XXXXとグレートノーザン、クイーンズランドのビール
XXXX(フォーエックス)は、1878年にブリスベンで始まったキャッスルメイン醸造所のビール。XXXXの銘柄は1924年に生まれ、今もブリスベンのミルトンで醸造されている。醸造元は1992年にライオン・ネイサン、2009年にキリンの傘下に入った。パブの看板やタップのXXXXゴールドのほか、夕食に飲んだXXXX ZEROはアルコール0.0%。グレートノーザンは2010年にカールトン&ユナイテッドが立ち上げた銘柄で、クイーンズランド州ヤタラで醸造され、2021年から2025年までオーストラリアで最も売れたビールだった。

ベジマイト
ビール醸造で残った酵母のエキスに野菜と香辛料を加えた、濃い茶色のペースト。塩気が強く、少し苦くて麦芽の風味がある。1922年にメルボルンの化学者シリル・カリスターが開発し、1923年10月25日に発売された。長くアメリカの会社の所有だったが、2017年にベガ社が買い取ってオーストラリア資本に戻った。味が濃いので、バターを塗ったトーストにごく薄く伸ばして食べる。今回は食べるのを忘れた。
出典: en.wikipedia.org

ネッド・ケリーの手配書
小屋のベランダの壁に貼られていたのは、「WANTED NED KELLY £2000」の手配書のポスター。ネッド・ケリー(1854〜1880)はオーストラリア最後期のブッシュレンジャー(山賊)で、警官殺害ののち一味で銀行を襲い、ビクトリア州の懸賞金は2,000ポンドに引き上げられ、ニューサウスウェールズ州の分と合わせて8,000ポンドに達した。1880年6月にグレンローワンで捕らえられ、同年11月にメルボルンで処刑された。今も民衆の英雄とも凶悪犯ともいわれる、オーストラリアの伝説の人物。
出典: en.wikipedia.org

農場の小さな小屋
今回お借りしたのは、古材を組んで建てた農場の小屋。ベランダにはランタンが吊るされ、古いラジオやミシン、手配書のポスターが飾られている。庭には風車が立ち、羊とアルパカと豚が暮らしていて、大家さんからは産みたての卵をいただいた。
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