
この旅のこと
瀬戸内海の伊予灘に面した、愛媛県伊予市双海町の下灘。海を見下ろす家で朝を迎え、海苔飯に魚の漬けをのせて出汁をかけた漁師めしをテラスで食べた。かつて「日本一海に近い駅」と呼ばれた下灘駅、1923年創業の醤油店、魚屋が営む鱧出汁のラーメン。帰り道にはたこ焼きを買い食いして、夕暮れの駅でしずむ夕日を見送った。
土地と食のことを、もう少し01TRAVEL JOURNAL
下灘の朝
愛媛県伊予市、双海町の下灘。瀬戸内海の伊予灘に面した小さな町で、海辺の一日が始まる。屋根とベンチだけのホームの向こうに、朝の海が広がっていた。
借りた家は、海を見下ろす高台に建つ木造の家。窓辺に立つと、木々の向こうに屋根が連なり、煙突から白い煙がゆっくりと上がっていた。
この場面から映像で見る0:2102TRAVEL JOURNAL
海辺の朝ごはん、漁師めし
海の近くに来ると、朝にはこれが食べたくなる。小ねぎを刻み、海苔とかつお節の混ぜご飯の素を茶碗のご飯にかける。その上に、醤油に漬けた白身魚の刺身をのせた。
戸を開けてテラスへ。盆の上で、急須からたっぷりの出汁を注ぐ。ねぎを散らして箸で混ぜれば、漁師めしの出汁茶漬けのできあがり。
テラスの縁に立つと、目の前に穏やかな海。椅子に腰かけ、海を眺めながらゆっくりと朝ごはんを食べた。台所の脇には、薪ストーブが置かれていた。
この場面から映像で見る0:2803TRAVEL JOURNAL
しもなだの朝
愛媛県伊予市、しもなだの朝。木々の向こうで煙突の煙が風に流れ、線路に沿った道が海へと下りていく。踏切の向こうには、海沿いの国道と港が見えた。
この場面から映像で見る0:5404TRAVEL JOURNAL
海が見える駅
「海が見える駅」として知られる下灘駅へ。待合室の壁には夕日やホームを写した写真がびっしりと貼られ、時刻表の窓の向こうにも海が光っていた。
ホームに出ると、海と空の青色が視界いっぱいに広がる。屋根とベンチだけのプラットホームに、地元の方が育てた花々が綺麗に咲いていた。
1935年に開業したこの駅は、1981年に海側を埋め立てて国道378号が通るまで「日本一海に近い駅」と呼ばれていた。当時はこのホームの真下まで海だったらしい。ベンチに腰かけて海を眺めていると、花柄に彩られた一両の列車が、ゆっくりとホームに入ってきた。
この場面から映像で見る1:0105TRAVEL JOURNAL
100年愛される醤油
古い町並みの路地を歩いて、下灘の老舗しょうゆ店「閏木醤油」を訪ねた。紋の入った暖簾をくぐると、木箱に詰まった瓶と、棚いっぱいの醤油が並んでいる。
この辺りは漁業が盛んな地域。「魚料理に合う醤油を」と、1923年に創業したそうだ。手に取ったのは、3年かけて仕込む「三歳醤油」の小瓶。瀬戸内の白身魚に合う、甘口の刺身醤油だという。
100年愛される地元の味。店を出ると、瓦屋根の向こうに煉瓦の煙突が立っていた。石垣の路地を抜け、薄暗い小道の奥に差す光へ向かって歩いた。
この場面から映像で見る1:5306TRAVEL JOURNAL
鱧出汁のラーメン
昼は、海沿いで見つけたラーメン店へ。赤い「らーめん」の暖簾をくぐると、運ばれてきたのは、ハモの出汁を使った無添加のラーメン。黄金色に輝くスープに、香り高い細麺。チャーシューと小ねぎ、わかめがのっている。
鱧は、この町の漁港でたくさん水揚げされる魚。漁業が盛んな町の魚屋さんならではの逸品だ。サイドメニューのしらす飯も、主役級の美味しさだった。
この場面から映像で見る2:3007TRAVEL JOURNAL
海辺の町っていいなぁ
漁港には漁船が並び、岸壁では洗濯物が潮風に揺れていた。道の駅ふたみに寄って、海を見ながら青いクリームソーダを一杯。
白い砂浜に腰を下ろし、しばらく伊予灘を眺めた。海辺の町っていいなぁ。
この場面から映像で見る2:5808TRAVEL JOURNAL
夕食の買い物
夕食の買い物をして帰ろう。今夜はレモン鍋にしようと、「瀬戸内レモン鍋つゆ」の袋を手に取り、裏の作り方を確かめた。産直の棚で白菜を選び、伊予市のブランド認定品が並ぶ売り場では、窓の外に海が見えていた。袋詰めのみかんも籠に入れた。
海岸沿いの素朴な店にも立ち寄る。軒先には袋入りのみかんや極早生の箱、柿の値札。奥の棚には、あられや原木椎茸が並んでいた。
この場面から映像で見る3:0809TRAVEL JOURNAL
帰り道のたこ焼き
ちょっと寄り道。海沿いの道に建つ、自動販売機の並んだ小さな店。軒先には「たこ焼」の赤提灯が下がっている。学校の帰り道を思い出すシチュエーションだ。
買い食いはいけません。が、帰り道のたこ焼きの魅惑には抗えない。受け取ったパックを開けると、マヨネーズのかかった焼きたてのたこ焼き。海を前にして、店先のベンチで頬張った。郷愁。
この場面から映像で見る3:2910TRAVEL JOURNAL
潮風の吹くテラス
家に帰ってきた。木の塀に囲まれた板張りの家と、海を見下ろすウッドデッキのテラス。手すりに缶を置いて、心地よい潮風に吹かれる。
襖を開け放した畳の部屋から、ガラス戸越しにテラスと海が見える。鳥の声と風の音以外聴こえない、穏やかな場所。海辺の家々の向こうに、遠くの島影がかすんでいた。
この場面から映像で見る3:5411TRAVEL JOURNAL
しずむ夕日が立ちどまるまち
夕方、坂道を下って、もう一度駅へ。夕焼けの空の下、ホームの先に港と海が広がっていた。双海町は「しずむ夕日が立ちどまる町」。その言葉のとおり、夕日はゆっくりと海へ沈んでいった。
この場面から映像で見る4:2912TRAVEL JOURNAL
瀬戸内のレモン鍋
夕食は、道の駅で買った瀬戸内レモンの鍋つゆで。白菜をざくざくと切り、赤い鍋に白菜とにんじん、しいたけ、青菜、白身魚、牡蠣、つみれを入れて煮た。レモンの香りの湯気が立ちのぼる、海辺の町の夜だった。
この場面から映像で見る4:38THE BORROWER’S NOTES
借り暮らしの愛媛・双海メモ。
立ち寄った店、台所で作ったもの、この土地のこと。旅のつづきに、覚えておきたいことを。
01立ち寄った店

閏木醤油工場
愛媛県伊予市双海町串甲48
1923年(大正12年)創業の醤油の醸造元。工場兼店舗は創業当時の佇まいを残し、創業時から使う木樽で醤油を寝かせている。「三歳醤油」は、いちど仕込んだ醤油を水の代わりに使って再び仕込み、3年かけて熟成させた甘口の刺身醤油で、瀬戸内の白身魚に合うという。濃口醤油・三歳醤油・だし醤油は「ますます、いよし。ブランド」の認定品。今回は三歳醤油の小瓶を手に取った。

上灘水産 ハモだしラーメン店
愛媛県伊予市双海町上灘甲5729
双海町上灘の港で魚の仲卸を営む上灘水産が、地元の鱧の出汁でつくるラーメンの店。鱧と野菜、鶏を約10時間煮込んだ透明感のあるスープに、国産小麦の細麺。チャーシューやメンマは自家製で無添加。2018年3月に開店した。映像では醤油味のラーメンに、サイドメニューのしらす飯を添えて食べている。鱧は数量に限りがあるので、行く前に確かめてほしい。

道の駅ふたみ(ふたみシーサイド公園)
愛媛県伊予市双海町高岸甲2326
国道378号沿い、白い砂浜のあるふたみシーサイド公園と一体になった道の駅。2021年5月にリニューアルし、産直市やレストラン、揚げ物のテイクアウト、カフェ「ラ・マーレ」などが入り、伊予市の特産品も並ぶ。階段式の護岸は「夕日の観覧席」と呼ばれる。今回はカフェで青いクリームソーダを飲み、瀬戸内レモン鍋つゆと白菜、袋詰めのみかんを買った。
出典: ryutsuu.biz jeepe.jp

海岸沿いのみかんの店
海岸沿いの素朴な店。軒先に袋入りのみかんと極早生の箱、柿の値札が並び、奥の棚にはあられや原木椎茸があった。

くじら
愛媛県伊予市双海町大久保648-1
海沿いの道に建つ小さな店で、たこ焼きとソフトクリームを出す。店先に自動販売機が並び、海を見ながら食べられる。今回はマヨネーズのかかったたこ焼きを一パック。
出典: tabelog.com
02作った料理

漁師めしの出汁茶漬け
下灘は伊予灘に面した漁師町。下灘漁協が拠点にする豊田漁港は西日本有数の沿岸漁業の基地で、鯛や鱧などの活魚が毎日せりにかけられる。海の近くに来ると朝に食べたくなるという、魚の漬けと海苔のご飯に出汁をかけた一杯を、海を見下ろすテラスで食べた。
材料ご飯・海苔とかつお節の混ぜご飯の素・白身魚の刺身(醤油漬け)・小ねぎ・出汁
- 小ねぎを刻む
- 茶碗のご飯に混ぜご飯の素をかけ、魚の漬けをのせる
- ねぎを散らし、急須から熱い出汁を注いで混ぜる
出典: zengyoren.or.jp

瀬戸内レモン鍋
道の駅ふたみで買った瀬戸内レモンの鍋つゆでつくる鍋。愛媛はかんきつ類の産地で、みかんの収穫量は全国3位、東予地域ではレモンもつくられている。産直の白菜を主役に、魚と牡蠣、つみれを加えて、海辺の町の夜に。
材料瀬戸内レモン鍋つゆ・白菜・にんじん・しいたけ・青菜・白身魚・牡蠣・つみれ
- 白菜をざく切りにする
- 鍋につゆを入れ、白菜・にんじん・しいたけ・青菜・魚・牡蠣・つみれを入れて煮る
03土地のこと

下灘駅
愛媛県伊予市双海町大久保
JR予讃線(愛ある伊予灘線)の無人駅で、駅番号はS09。1935年(昭和10年)6月9日に開業し、木造の駅舎は開業当時のもの。1981年(昭和56年)に海側を埋め立てて国道378号が通るまでは、ホームのすぐ下に波が打ち寄せる「日本一海に近い駅」だった。青春18きっぷのポスターに3度使われ、映画『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(1977年)のロケ地にもなった。駅の駐車場は送迎用で、観光での利用は遠慮を求められている。

しずむ夕日が立ちどまる町、双海
双海町は愛媛県中予の最西部、伊予灘に面した町で、2005年4月1日に伊予市・中山町と合併して伊予市の一部になった。主な産業はかんきつ農業、沿岸漁業、海産物加工。瀬戸内海に沈む夕日の美しさで知られ、「しずむ夕日が立ちどまる町」を合言葉に地域おこしが続けられてきた。下灘地区は「日本の夕陽百選」にも選ばれている。

下灘の鱧
愛媛県は日本を代表する鱧の産地で、双海町下灘の水揚げはトップクラス。下灘漁協の豊田漁港は県内有数の鱧の水揚げ港で、多いときは1日に10〜15トン、2メートルを超える鱧が揚がることもある。京都の料亭で高級魚として扱われるため、大半は京阪神へ出荷されてきた。地元で鱧を知ってもらおうと、2009年9月から「下灘ぴちぴち鱧まつり」が開かれている。

海苔とかつお節の混ぜご飯の素
朝食に使った、海苔とかつお節を混ぜたご飯の素。袋には「漁師町の海苔飯」「漁師達のまかない料理」「国産」とある。買った店は映像に出てこない。

ノンアルコールビール「龍馬1865」
テラスの手すりに置いた缶は、麦芽100%のノンアルコールビール「龍馬1865」。買った店は映像に出てこない。

海を見下ろす木の家
今回お借りしたのは、下灘の高台に建つ木造の家。海を見下ろすウッドデッキのテラスと、襖を開け放した畳の部屋、台所の脇の薪ストーブがある。鳥の声と風の音以外は聴こえない。
PHOTO ALBUM写真を見渡す67全写真をひらく一覧を閉じる
写真を選ぶと、大きな画面で一枚ずつ眺められます。





















































