
神谷バーの創業者が明治26年(1893年)に考案した酒。ブランデーをもとに、ジンやワイン、キュラソー、薬草などを秘伝の分量で合わせている。太宰治の『人間失格』にも登場する。ほんのり甘く薬草が香る、琥珀色の強いお酒で、生ビールをチェイサーにするのが神谷バーの流儀。
この旅の、この場面
電気ブランと、かにコロッケ
電気ブランのチェイサーは、生ビール。それが神谷バースタイルなのです。カウンターで注がれる生ビールのジョッキの脇には琥珀色の電気ブランのグラスが並び、卓上の案内には「相思相愛。生ビールとデンキブラン」。なんて粋な飲み方だろう。
若いころ、興味津々でこの飲み方に挑戦したことがある。ほんのり甘く薬草の香りがする強いお酒で、これは危ない飲み方だと思いながらも、ゆがむ視界で浅草浪漫に浸ったものだ。お酒に弱い人には、すすめられない。今夜は、ノンアルコールのビールにした。
浅草といえば、洋食もまた名物。舌の肥えた文豪たちが愛したハイカラな味を、かにコロッケでいただく。ソースをまとった衣を箸で割ると、白い中身がのぞいた。明治時代に登場したモダンなバーには、文明開化の雰囲気と浅草浪漫の香りが色濃く漂っていた。
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