
この旅のこと
前回に続いて滞在した本部町で、別の古民家の一日。庭の露天風呂で朝を迎え、スパムおにぎりの朝ごはん。古宇利大橋を渡って海辺でぜんざい(沖縄ではかき氷のこと)を食べ、名護の市営市場を歩き、食堂でグルクンの唐揚げ。夕方はロケットストーブで石焼きいも、夜はゴーヤーチャンプルーとジューシー。猫たちと過ごした、冬の沖縄のうちなぁ時間。
土地と食のことを、もう少し01TRAVEL JOURNAL
庭の露天風呂で迎える朝
庭の湯船に、赤い花びらが浮かんでいた。木々に囲まれた露天風呂に浸かって、沖縄北部の朝を迎える。前回に引き続き、本部町に滞在している。
今回お借りしたのは、前の家とはまた別の古民家。赤い花の咲く庭の向こうに、瓦屋根の平屋が建っている。猫も私も、うちなぁ時間の一日が始まる。
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やんばるの朝ごはん
沖縄本島の北部は、古くから「やんばる」の愛称で親しまれている。漢字では「山原」と書き、その名の通り、山々が連なって森が広がり、自然の原風景が多く残されている土地だ。
朝ごはんは、沖縄の家庭でおなじみの缶詰のポークで。厚めに切って、フライパンで両面にこんがりと焼き色をつける。黒い鍋のご飯を握り、焼いたポークをのせて海苔で巻けば、スパムおにぎりのできあがり。
縁側では、この家に住み着いている猫たちが朝の見回り中。カップのアーサ汁にお湯を注ぎ、さんぴん茶をそえて、朝の支度がととのった。
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フクギに囲まれた古民家
縁側に腰を下ろして、庭を眺めながらの朝ごはん。台風を防ぐフクギの木に囲まれた、伝統的な沖縄の古民家だ。
沖縄では、強い風から家を守るために、屋敷のまわりにフクギを植えてきた。果樹やハーブの茂る庭を、猫がゆっくりと横切っていく。自然と一緒に暮らす感覚が、この家にはある。
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橋を渡って、ぜんざいを
天気も良く、日中は暑いくらい。古宇利大橋を渡って、「ぜんざい」を食べに行こう。沖縄では、ぜんざいといえばかき氷のことなのだ。
海へ続く小道の先、のぼりの立つ海辺の店で、山盛りのかき氷が運ばれてきた。甘く煮た金時豆と白玉がのり、黒糖の奥深い香りがたまらない。ヤシの葉の向こうに青い海と橋を眺めながら、ひと口ずつ味わった。
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名護の市営市場と、猫
名護の市街地にある、名護市営市場に寄った。シーサーの乗った石垣の看板をくぐると、レトロで穏やかな雰囲気の市場だ。バナナの房、野菜や果物、壁に貼られたポスター。
日なたで寝そべる猫に出会った。沖縄の猫は、フレンドリーな子が多いな。島人も気候も暖かいからだろう。色ガラスの窓があるアーケードを抜けて、市場をあとにした。
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食堂でグルクンの唐揚げ
お昼は地元の食堂で、沖縄らしい定食をいただこう。まずは海ぶどうを、オリオンの瓶を傾けながら。小鉢に盛られたぷちぷちの粒を、箸でつまむ。
黒板の品書きから選んだのは、沖縄の県魚でもあるグルクンの唐揚げ。氷の上にのった刺身と、もずくの天ぷらもついてきた。カラリと揚がったグルクンは、頭から尻尾まで美味しい。もずくの天ぷらも絶品だった。
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石焼きいもと、冬の沖縄
沖縄といえど、夕方になると気温が下がる。庭に出て、流木を積んだロケットストーブに火を入れよう。
鉄鍋に石を敷き、さつまいもを並べて、石焼きいもをつくる。待つあいだに、布のフィルターでコーヒーを落とす。ほくほくの焼きいもを手に、「かき氷」と「石焼きいも」を同じ日に食べる。無い物ねだりを叶えてくれる、冬の沖縄だ。
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猫も私も、うちなぁ時間
日が傾いて、家の中が静かになる。格子の窓の向こうに庭の緑が揺れ、壁には写真や絵が飾られている。棚には、この海の生きものについての本が並んでいた。
縁側では、白い猫が毛づくろいに余念がない。猫も私も、うちなぁ時間。
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ゴーヤーチャンプルー
夜ごはんは沖縄の家庭料理。忘れてはいけない、ゴーヤーチャンプルーだ。ゴーヤーを薄く切り、島豆腐は手でちぎって、鉄のフライパンで焼き色をつける。
「チャンプルー」は、焼いた島豆腐と野菜の炒め物。元々は、安価で手に入りやすい食材でつくる家庭料理だ。豚肉を加えて、溶き卵をからめる。きっと、ご家庭の数だけ美味しいチャンプルーがあるんだろうな。
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土鍋で炊くジューシー
土鍋では、もうひとつの沖縄の味が炊きあがっていた。和風出汁と豚肉のコクが美味しい「ジューシー」。沖縄の言葉で炊き込みご飯のことで、今回はにんじんやしいたけと一緒に炊いた。季節の行事やお祝い事の定番だ。
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あんしぇー、またやーたい
明かりのともった食卓に、削り節をのせたチャンプルーと、ジューシー、海ぶどうを並べる。さまざまな文化や人々の知恵がつまった沖縄料理。初めて訪れた私にも、なぜか懐かしい沖縄の空気だ。
今度は夏にも来てみたいな。窓辺に寄りそう猫たちに、あんしぇー、またやーたい。それでは、また会いましょう。
この場面から映像で見る4:33THE BORROWER’S NOTES
借り暮らしの沖縄・本部メモ。
立ち寄った店、台所で作ったもの、この土地のこと。旅のつづきに、覚えておきたいことを。
01立ち寄った店

紀乃川食堂
沖縄県国頭郡本部町健堅603
海沿いの道から少し入った住宅地にある食堂。黒板の品書きには、グルクンの唐揚げ、もずくの天ぷら、海ぶどう、ゴーヤーチャンプルー定食などが並ぶ。今回はグルクンの唐揚げと刺身、もずくの天ぷら、海ぶどうをいただいた。
出典: retty.me

海辺のぜんざいの店
古宇利大橋を渡った先、海へ続く小道の脇にある、のぼりの立った小さな店。甘く煮た金時豆と白玉をのせた、山盛りのかき氷(沖縄ぜんざい)を出す。

名護市営市場
沖縄県名護市城1-4-11
名護の市街地にある市場。大正時代から続く市場で、現在の建物は2010年に完成した。1階に肉・魚・野菜の生鮮食品店、2階に雑貨や土産物の店と食堂がある。
02作った料理

スパムおにぎり
沖縄では、戦後、肉類の入手が難しい中で、保存がきいて手軽なたんぱく源として缶詰のポークが広く使われるようになり、卵焼きや目玉焼きと一緒に出す食べ方が家庭に根づいた。「ポークたまご」は戦後の知恵から生まれ、今では家庭の味として親しまれていて、それを握ったポークたまごおにぎりも定番だ。今回は焼いたポークをご飯にのせ、海苔で巻いた。
材料ご飯・缶詰のポーク(スパム)・焼き海苔
- ポークを厚めに切り、フライパンで両面に焼き色をつける
- ご飯を握り、焼いたポークをのせる
- 海苔で巻く
出典: ryukyushimpo.jp

ゴーヤーチャンプルー
沖縄の庶民料理「チャンプルー」は、焼いた島豆腐と季節の野菜の炒め物で、その代表格がゴーヤーチャンプルー。苦味のあるゴーヤーを豆腐や卵と炒めて食べやすくしたもので、沖縄の硬くしっかりした豆腐はよく炒められる。夏バテ予防の料理として親しまれてきたが、品種改良でゴーヤーが通年出回るようになり、今は季節を問わず家庭や食堂で出される。豚肉の代わりに缶詰のポークを使うこともある。
材料ゴーヤー・島豆腐・豚肉・卵・削り節
- ゴーヤーを薄く切る
- 島豆腐を手でちぎり、鉄のフライパンで焼き色をつける
- ゴーヤーと豚肉を炒め、溶き卵をからめる
- 皿に盛り、削り節をのせる
出典: maff.go.jp

ジューシー
「ジューシー」は沖縄の言葉で炊き込みご飯のこと。硬めに炊く「クファジューシー」は、米と豚の三枚肉、にんじん、戻した干ししいたけ、かまぼこを豚だしで炊いたもので、豚肉を加えて炊くことでつやよく仕上がる。もとは行事や祝い事に欠かせない料理で、旧盆には葉しょうがを使った「ウンケージューシー」、冬至には田芋を使った「トゥンジージューシー」を食べる。今は家庭の日常食としても親しまれている。
材料米・豚肉・にんじん・しいたけ・和風出汁
- 米と具を出汁とともに土鍋に入れて炊く
- 炊きあがったら、底からほぐす
出典: maff.go.jp

石焼きいも
さつまいもは、1605年に野國總管(のぐにそうかん)が中国・福建から苗を持ち帰って琉球に伝えたとされる。儀間真常が栽培法を広めて琉球全土に普及し、その後、薩摩を経て日本中に伝わった。冬の夕方、ロケットストーブで焼いた石焼きいもを食べた。
材料さつまいも・石
- ロケットストーブに流木を積み、火を入れる
- 鉄鍋に石を敷き、さつまいもを並べて焼く
出典: ryukyushimpo.jp
03土地のこと

やんばる(山原)
「やんばる(山原)」は、山々が連なり森の広がる地域を意味する言葉で、亜熱帯照葉樹林の森が広がる沖縄島北部を指す。森林率は80%以上で、ヤンバルクイナやノグチゲラ、ケナガネズミなどの固有種が生息する。
出典: env.go.jp

フクギの屋敷林
沖縄では、台風の強い風から家を守るために、屋敷のまわりにフクギを植えてきた。本部町の備瀬のフクギ並木は、今から250年以上前の琉球王国時代に、屋敷の防風林として整備されたのが起源とされる。
出典: mlit.go.jp

古宇利大橋
沖縄県国頭郡今帰仁村古宇利
名護市の屋我地島と今帰仁村の古宇利島を結ぶ、全長1,960メートルの離島架橋。2005年に開通し、通行は無料。橋ができるまで、古宇利島へは本部からフェリーで渡っていた。
出典: gltjp.com

沖縄ぜんざい
沖縄で「ぜんざい」といえば、甘く煮た金時豆の上にかき氷をのせた冷たい甘味のこと。緑豆と大麦を甘く煮て冷ました沖縄の「あまがし」がルーツとされ、戦後、流通の事情で緑豆が金時豆に代わった。黒糖で豆をやわらかく煮る作り方は受け継がれ、甘い豆に白玉やかき氷を合わせる食べ方が広まった。
出典: macaro-ni.jp

県魚グルクン
グルクンは沖縄の方言名で、和名はタカサゴ。1972年5月15日に沖縄県の「県魚」に制定された。「アギヤー」と呼ばれる大規模な追い込み網で獲られ、かつてはカツオの一本釣りの餌にも使われた。食卓では鮮やかな赤色になり、唐揚げにすると頭から尻尾まで食べられる。
出典: pref.okinawa.jp

海ぶどうと、もずく
海ぶどう(クビレズタ)は、沖縄県の養殖生産量・生産額ともに第3位を誇る特産品。もずく(オキナワモズクとモズク)は、平成11年度以降の県の養殖生産量が13,000〜21,000トンで、国内で生産するもずく類の95%以上が沖縄産だ。どちらもサンゴ礁の海で養殖されている。

猫のいる古民家の宿
今回お借りしたのは、庭に露天風呂のある伝統的な造りの古民家。果樹やハーブの植えられた庭に、猫たちが住み着いている。ロケットストーブと鉄鍋で、庭での焼きいもも楽しめた。
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