
そばは米や小麦が育ちにくい冷涼な高冷地でも育つため、長野では古くから栽培されてきた。昼夜の寒暖差が大きく、澄んだ水にも恵まれている。細く切った「そば切り」は江戸時代のはじめごろに現れたとされ、1645年の『毛吹草』には「そば切りは信濃国の名物」と記されている。塩尻市の本山宿は、そば切り発祥の地のひとつとされる。1983年には「手打ちそば」が長野県の選択無形民俗文化財に登録された。
この旅の、この場面
温かい山菜そば
長野と言えば、なんと言ってもお蕎麦。宿場の中ほどにある手打そばの店に入った。お盆にのって運ばれてきたのは、温かい山菜そば。湯気の立つ器に、わらびやきのこ、ねぎがたっぷりのっている。
箸で持ち上げると、細めのそばがつゆをまとって光る。そばと山菜の味がつゆに染み出て、優しくて深くて、じんわりと美味しい。座敷で器を抱えるようにして、最後まで味わった。
店先には「手打そば」の行灯看板が掛かり、格子の壁に黄色い花が飾られていた。
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